うさんこやま未来発電所市民ファンド

香川県初、市民ファンドによる市民太陽光発電所が誕生!

四国の北東に位置する香川県は、近年、名物の「讃岐うどん」をアピールした「うどん県」というユニークな愛称で注目を集めています。瀬戸内海に面し、温暖で雨の少ない同県では、豊富な日射量を活かすべく、各地で太陽光発電が拡大中。そして2015年、香川県高松市で、県内初となる市民ファンドによる市民太陽光発電所が誕生します。同発電所を企画した、うさんこやま電力合同会社代表の伊藤伸一(のぶいち)さんに、発電所誕生の経緯と事業にかける想いについて、お話を聞きました。

うさんこやま電力合同会社代表

伊藤伸一(いとうのぶいいち)

三電計装株式会社執行役員。香川県内の中小企業で設立したうどん県電力株式会社の営業部長も務める。その傍ら、自宅の農地で香川県産小麦「さぬきの夢2009」を無農薬で栽培。香川県地球温暖化防止活動推進員4期目。香川県くらしの省エネ新エネ普及促進協議会副会長。全国に約2700名の会員を有するNPO法人太陽光発電所ネットワーク2番目の四国会員。

――今回、伊藤さんが市民共同発電所を手がけることになったきっかけを教えてください。

伊藤:ことの始まりは「うどん県電力」の設立です。私は三電計装という会社で太陽光発電事業を担当していますが、2012年7月2日の「うどんの日」に、わが社を含めた地元の中小企業4社による「うどん県電力株式会社」が立ち上がりました。当時は、固定価格買い取り制度の開始時期で、国内有数の日射量を誇る香川県にも、大企業の新規参入やメガソーラー事業の県外進出が引きも切らない状況でした。しかし、こうした県外企業による経済効果は、固定資産税や賃貸料にとどまる程度で、地域にほとんど恩恵をもたらしません。こうした動きに対抗するため、地域の中小企業や市民が資本・資金を出し合い、地域の中でお金が循環させながら雇用を増やす。地域社会に貢献できるメガソーラーをつくろうと設立されたのがうどん県電力なんです。その後、増設などを経て、現在までに973kW規模の発電設備となりましたが、当初目指していた市民ファンドを活用した市民エネルギーの拡大には至っていません。

うさんこやま未来発電所(高松市国分寺町新名1556-1/敷地面積:2189m2/システム容量273kW)
うさんこやま未来発電所(高松市国分寺町新名1556-1/敷地面積:2189m2/システム容量273kW)

――それはなぜでしょう?

伊藤:運用額の小ささや、小口募集の手間など、ビジネスとしての難しさが理由としてはあると思います。その一方で、未来の地域や社会を担っていく主体は市民一人ひとり。その一人ひとりの想いが込められた志金(資金)は社会を変える力になるというのが私の考えです。

――そこで自らが、市民ファンド型の発電所を作ってしまおうと?

伊藤:それも一つですね。もう一つの理由は、市民や地域が手がける小さな自然エネルギー発電所が各地で次々と生まれていることです。市民が発電所の建設や運営に取り組むことは、好むと好まざるとに関わらず(地域の)環境や社会、経済に目を向けなければならなくなります。当然、主体的な地域づくりへとつながります。ところが、香川にはこうした発電所の取り組みはまだありません。このままでは自然エネルギーによる地域づくりで、全国に大きく遅れをとってしまう――。そんな危機感から、まずは私自身がモデルとなるべく、うさんこやま未来発電所をつくることを決めました。この発電所づくりが、次に続く人たちの行動を促すきっかけになればと思っています。

3月18日に行われた完成記念式典。パワーコンディショナーのスイッチを入れる伊藤さん
3月18日に行われた完成記念式典。パワーコンディショナーのスイッチを入れる伊藤さん

――市民発電所の多くが地域の特色や独自性を出していますが、うさんこやま未来発電所にはどのような特徴がありますか?

伊藤:約3000万円を募る市民ファンドのお礼として、地元の農産物、農産加工品を予定しています(現金、農産物から選択可能)。香川県は温暖な気候により多品目の農産物を生産していますが、全国的にはあまり知られていません。わが家でも父の代から兼業農家を営んでいますが、県内農業の将来を見据えると、香川や高松の農産物を全国にアピールする必要性を感じています。特に私の畑では、より付加価値の高い農業を目指し、無農薬栽培に取り組んでいるので、出資された方には安全でおいしい農産物が届けられますよ!

出荷量全国2位のニンニクを熟成させてつくる黒ニンニク。栄養価に優れたスーパーフードです
出荷量全国2位のニンニクを熟成させてつくる黒ニンニク。栄養価に優れたスーパーフードです
小豆島が有名な香川県のオリーブですが、発電所のある高松市国分寺町でも数多く栽培されています
小豆島が有名な香川県のオリーブですが、発電所のある高松市国分寺町でも数多く栽培されています

――農業の活性化のためにも市民ファンドにこだわりたいということですね。それが、香川県ファン、高松市ファンを増やすことにつながる。

伊藤:農業との連携で言えばもう一つ。県では官民協働で、うどん店、製麺工場などで廃棄処分されるうどんを回収してバイオマス発電やバイオエタノール、液肥を生産し、それを燃料や肥料として再びうどん作りに活かす「うどんまるごと循環プロジェクト」を展開しています。「うどん液肥」は、私の栽培する香川県産小麦「さぬきの夢2009」に使われ、うどんからうどんを作りだすことに成功しました。うさんこやま未来発電所のファンド配当にも、この小麦を使った「うどん打ち体験ツアー」を計画中です。目指すのは、食とエネルギーの地産地消、地域内循環です。

うどん液肥で育てた小麦を使った手打ちうどん体験の様子
うどん液肥で育てた小麦を使った手打ちうどん体験の様子

――夢は尽きませんね!

伊藤:将来的には全国各地の市民共同発電をネットワーク化して、配当を全国の地場産品から選べるようにしたいという構想もありますし、叶えたいアイデアはまだまだたくさんあります(笑)。農業を取り巻く環境は厳しいですが、うさんこやま未来発電所をベースに、安心・安全な農産物づくりと農産加工品開発、地産の自然エネルギーを組み合わせた農業モデルの確立を目指していきます。

香川県産小麦「さぬきの夢2009」を収穫中
香川県産小麦「さぬきの夢2009」を収穫中

【ご注意】
PV-Net市民ファンドサポートセンター(NPO法人太陽光発電所ネットワーク)は、「うさんこやま未来発電所市民ファンド」の募集・売出しの取扱い、売買、売買の媒介・取次ぎ・代理等を行うものでなく、また、それらに向けた勧誘を行うものでもありません。本ファンドへの出資申込取扱は、野畑証券株式会社(金融商品取引業者 東海財務局(金商)第18号)に委託しており、同社の以下ウェブサイトより資料請求および、出資申込手続きを行っていただきます。

メディア掲載

2015.06.16 日本経済新聞四国版
四国の鮮力拠点 市民出資で太陽光発電 配当は地域の農産物
2015.06.15 かがわ経済リポート
県内初の太陽光発電市民ファンドを販売中
2015.06.13 四国新聞
市民ファンド型太陽光発電所/出資者を募集
2015.05.31 朝日新聞
香川)「うどんまるごと循環」小麦収穫 液肥で栽培
2015.05.27 タイナビNEWS
香川県初の市民ファンド太陽光発電所 東京で説明会を開催
2015.05.27 RNC西日本放送
RNCニュース「市民参加型太陽光発電所 説明会」
2015.05.06 ビジネス香川
Next開拓魂「県内初、市民参加の太陽光発電所」
2015.04.11 RNC西日本放送 波のりラジオWeek End Fever
かがわビジネス紳士録「あの歌に逢いたい」
2015.03.19 朝日新聞
香川)市民出資の太陽光発電所が完成
2015.03.18 KBS瀬戸内海放送
市民ファンド活用の太陽光発電所
2015.03.17 四国新聞
太陽光発電、求む出資者/高松で市民ファンド型